カップの中の途中下車
眠りの始まりとそれから朝まで続く足跡だけが不快で、
目を閉じる間だけ失ってゆくことがあって、
会う理由にされた本はここに居たがって愚図る。
今日は陽射しが強い。
助手席の角度と、キスは、
底に溜まったココアを飲むように保たれる。
撮ってあげるよ
私は撮られるのが苦手で、それと同じくらい人を撮るのが難しくて
いつか
と言って目を合わせる。
高速道路は眠いから会話が途絶えない。
横たわる滝で、
水飛沫のように言葉が剥がれるのを
隣の車がミラーで合図する。
後姿となって携帯電話に取り込まれた自分を見た。
ここから見れば、眠りは朝と夜の接着面でしかなく、
だから、今日と明日はのびた線の上で、夢ばかり探す。
スプーンだけの恋を
砂糖もミルクもひとりでに溶けてゆく部屋で迎えて、
眠りのように早く終わってほしいと
起き抜けのあの、不快感がやってくる。
帰りのバスの中
終点が近づくと、次々にしおりを取り出す人々。
恋になる時の音が響く。
いつも寂しいはずなのに、久しぶりにさびし、と感じた。
玄関に自分の靴ばかり増えてく。
カメラ手に持って、見ただけじゃ撮れない。
さらさらしたココアでアメを融かす。買った服にもかけてみたい。
こんなはずじゃなかった。
間違えたどこかはないし
みんな自分の手でどうしようもうやだ・・・。
笑顔きついときがある。
クラスの卒業文集でアンケートコーナーがあって、ひまわりみたいな人二位にランクインしていて、あ。
他に色々入っていたけど忘れてしまった。チアとかそんなの。
中学生の頃、無差別な優しさで彼を傷つけた。ずっと前から傷ついていた。
一度目の告白を断ったとき、彼は君を忘れるために弾くと言って、私は優しいねと電話口でぽつり。そのあと何か言ったんだけれどはっきりとは覚えていない。たぶん、ガンバって忘れなくてもいいから弾いて欲しい、という意味のことを。辛くならないでほしかった。
深夜クローゼットに隠れて受話器を握り、ちょうど夏休みが始まった日で、暑くて、ドアにもたれながら膝を抱くと太ももに汗が滲んでくるから足をなげ出していた、その態勢で電燈を目印にくんくん、指先をいじりながら、体が眠りたがっているのに耳がそれを許さない、中途半端な昼寝の気だるさに似た居心地の悪い安息のようで、今は一瞬だけれど「今この時」は、長い時間に引き伸ばされるんじゃないかと妙な予感がして、もう考えるのはよそうと気を抜いたら不意に小さなあくびが出た。
振ったことは振られたこととほとんど変わらなくて、その事をずっと覚えている。
告白はそれ以前からずっと始まっているし、恋が形の見えなくなるまで壊れる瞬間なんてたぶん来ないのではないかと思った。
今でも夢にでてくる。どうしようもなく、人差し指の先を胸の前で繋ぐように重ねて、私は泣いてはいけない。
でも、あまりに昔のことだなぁと思う。過去が遠すぎて、もう、未来のように見えない。
まるで、進む方向がわからないみたい。
まだらに色だらけの床が抜けて、ここに落ちてきたように感じて、どうしてこんな・・・・
足を折りたたんで通話を切る瞬間、すきになってよかったと言われて、堪らなく胸が苦しかった。
音がするように痛かった。
コール
都市みたいな空が遥か彼方から、返る山彦が敷く距離が離れをつくって
ひとつ、の往復
仰向けに倒れた。星が架かる、光の筋のように
背中に溜まっていく水位が「私」をおいてく気持ち
ひとが浮かぶ足場の無い海、星が泳ぐ。
アノトキノヒトが引いた、人型の線が、滲んで濃淡の疎らな空になる。
光が薄めていく。あなた・水が、身体を抜けて馴染んでいく地上から雲へ、梟へ。
ここからの声に呼応するように、千もの色が星を鳴らす。
私の音はあなたの音、還ってくる。
山にも空にも人がいるんだよ。
昇っていく言葉の続きが溶けて雨になる夜空が光を小さくコツコツコツ
私は象になりたい。
照らされた夜空の雲の形を、指で真似て身体は天井。
足先に水溜まり。
あなたの光は数え切れない。
遥
隙間をあるく
工作の日でランドセルが重かった、最短の帰り道を逸れていく。古い木造の玄関を追いやる門に立つと、「学舎」に住む数名の同級生たちが走り回りかくれんぼしては薄い洗濯物を膨らませているのが見えた。呼ぼうとしたけど、五時の音が鳴って宿題をしなきゃと思った。
学舎には両親のいない子が暮らす。両親がいてもいろんな理由で一緒に暮らせない子がここで暮らす。たまに迎えが来る。
学舎全体をぐるりと囲い込んだ塀上の金網には、30センチ毎に花の入った植木鉢が掛けられていて、よく見るとすべて同じ種類か似た花だった。角には必ず「子供飛び出し危険」の看板が置かれている。
建物とコンクリートの塀との間にある小さなスペースで、打つだけの野球をしている。放つのはドッジボールの球。その様子を不服そうに背中で聞きながら、少年がパイポをくわえる。
すぐ右隣には「ふつう」の公園があって、比較的に狭く、子供連れの家族が二、三組来ようものならお互いに気を使ってしまう感じ。学舎の門の真正面には、いつのまにか有料老人ホームが建っていた。
小学校二年生くらいのときクラスメイトが、学舎に入ってお母さんがいなくなった話を耳打ちしてくれた。harufarに言うねって。本当は預けられただけだし、いなくなったわけじゃないけど、迎えは分からない。さびしくて夜布団で泣いたけど見られてはずかしかった。中学生になったら自分で洗濯しないといけなくて、高校生になる歳には学舎を出る決まりがある。大工になりたい。ポケモンの裏技知ってる?
どんなの?
クラスの中で誰が学舎の子であるかは何となしに知らされていた。同じクラスに一人か二人くらい。薄い色の服であるとか、学舎の先輩が去年着ていた服を身に着けているとか、そういうことじゃない。ふ、とかは、とか言う誰にでも伴う空気でなんとなく知る。どのクラスメイトも、それぞれの持つ空気で住んでる地区がだいたいわかる。転校生のお父さんは自衛隊。
私たちは学舎の中に入れない。駄目と言われたことはないし、こっそり入ってもいいが中には何も無いよとは話していたけれど、なんだか駄目な気がした。それよりも中にいる、竹刀を引きずり歩く中学生が怖かった。
五時にはみんな帰る。それ以降は夜の時間。五時まで隣の公園で草を集めて散らしたりしていた。十人は入れる広い砂場で、自分の影に砂をかけて遊んだ。ポケモンは見事にバグった。
くすくす笑った。
すっかりその記憶が薄れてしまった頃に例のポケモンの裏技(だけ)を思い出して、同級生の男の子に情報量アメ二個で売った。(さいあく)彼のポケモンもやっぱりバグった。
その男の子は同窓会で私の腕を引っ張り、この春転職する。
つながってまわって過去があるく元気?
いま何してるのかなぁ
まるで見知らぬひとのよう
そう、そう。
犬の散歩がてら学舎の前を通った。中にいる子供にじゃれつこうと飛び跳ねたぺろを制して、少ししんみりとしてしまった。ひらひらしたミニスカートを履いてきたことを、まるで重りみたいに感じて今度こそもう入れないのだと思った。
きっと、大人になって会えても。今どこに住んでいるかなんて気づけないだろう。私たちは子供として出会った。そのままの重なりにあいた隙間が、過去と名付ける時間だったのかもしれない。
だから、今がわからない。
春じみた風がスカートの裾をはためかせる。
春は花を待たない。
鹿児島の春は、既に夏の準備を始めているのだ。
生暖かい流れが耳の傍を通り過ぎああ、近すぎると。
春が犬のように近すぎる。
今日はそう思った。
参考:『坂のある非風景』のMさんのtwitter発言
「犬は近すぎる。」
http://twitter.com/freezing/statuses/769027307
学舎には両親のいない子が暮らす。両親がいてもいろんな理由で一緒に暮らせない子がここで暮らす。たまに迎えが来る。
学舎全体をぐるりと囲い込んだ塀上の金網には、30センチ毎に花の入った植木鉢が掛けられていて、よく見るとすべて同じ種類か似た花だった。角には必ず「子供飛び出し危険」の看板が置かれている。
建物とコンクリートの塀との間にある小さなスペースで、打つだけの野球をしている。放つのはドッジボールの球。その様子を不服そうに背中で聞きながら、少年がパイポをくわえる。
すぐ右隣には「ふつう」の公園があって、比較的に狭く、子供連れの家族が二、三組来ようものならお互いに気を使ってしまう感じ。学舎の門の真正面には、いつのまにか有料老人ホームが建っていた。
小学校二年生くらいのときクラスメイトが、学舎に入ってお母さんがいなくなった話を耳打ちしてくれた。harufarに言うねって。本当は預けられただけだし、いなくなったわけじゃないけど、迎えは分からない。さびしくて夜布団で泣いたけど見られてはずかしかった。中学生になったら自分で洗濯しないといけなくて、高校生になる歳には学舎を出る決まりがある。大工になりたい。ポケモンの裏技知ってる?
どんなの?
クラスの中で誰が学舎の子であるかは何となしに知らされていた。同じクラスに一人か二人くらい。薄い色の服であるとか、学舎の先輩が去年着ていた服を身に着けているとか、そういうことじゃない。ふ、とかは、とか言う誰にでも伴う空気でなんとなく知る。どのクラスメイトも、それぞれの持つ空気で住んでる地区がだいたいわかる。転校生のお父さんは自衛隊。
私たちは学舎の中に入れない。駄目と言われたことはないし、こっそり入ってもいいが中には何も無いよとは話していたけれど、なんだか駄目な気がした。それよりも中にいる、竹刀を引きずり歩く中学生が怖かった。
五時にはみんな帰る。それ以降は夜の時間。五時まで隣の公園で草を集めて散らしたりしていた。十人は入れる広い砂場で、自分の影に砂をかけて遊んだ。ポケモンは見事にバグった。
くすくす笑った。
すっかりその記憶が薄れてしまった頃に例のポケモンの裏技(だけ)を思い出して、同級生の男の子に情報量アメ二個で売った。(さいあく)彼のポケモンもやっぱりバグった。
その男の子は同窓会で私の腕を引っ張り、この春転職する。
つながってまわって過去があるく元気?
いま何してるのかなぁ
まるで見知らぬひとのよう
そう、そう。
犬の散歩がてら学舎の前を通った。中にいる子供にじゃれつこうと飛び跳ねたぺろを制して、少ししんみりとしてしまった。ひらひらしたミニスカートを履いてきたことを、まるで重りみたいに感じて今度こそもう入れないのだと思った。
きっと、大人になって会えても。今どこに住んでいるかなんて気づけないだろう。私たちは子供として出会った。そのままの重なりにあいた隙間が、過去と名付ける時間だったのかもしれない。
だから、今がわからない。
春じみた風がスカートの裾をはためかせる。
春は花を待たない。
鹿児島の春は、既に夏の準備を始めているのだ。
生暖かい流れが耳の傍を通り過ぎああ、近すぎると。
春が犬のように近すぎる。
今日はそう思った。
参考:『坂のある非風景』のMさんのtwitter発言
「犬は近すぎる。」
http://twitter.com/freezing/statuses/769027307
いまの空を剥がして
こんなものじゃない、
また来るよ端々に
溝の覗く真暗闇の
音さえ殺す寒気背中から
首を舐めとる密度
こわいよこわいよ
絶対の往復からの、暮れない帰り路
足りない、破るものとか
言葉も、これ以上ムリってエントリあげるけど、狭い。まだ薄い、痛苦に息を吐きながら留まってる、幾度重ねてもどうしてもまだ詩とは呼べない。場所に依存しすぎてるのかな。マイペースってどうなんだろう…
さっきからずっと明日まで、帰り続ける還り、孵り、かえり続ける秒針、病身
外の出来事今は書きたくない。目はくるくると廻転していて、そのスイッチを(自分じゃできもしないのに)カチリと鳴らして、もし前みたいに戻れなくなったらと思うと、かえるのに頑張れる気持ちがないから今はしたくない。
すぐ来るのに、でも思い返すと、一月前の記事すらもう書ける気がしない。
朝の雨は朝を濡らす。
鳥の形でガラスが皹割れ
橋の下をくぐる
広がり続ける道路が
どんどん海に近くなる。
鬼束ちひろは叫んでいる。声で歌ってる。好き、大好き。
安藤裕子はふるえている。声の形を震わして歌っている。喉が、線でなくなるくらい、夜空の星をくずすように。
だから、あきれるほど聴いてしまう。
春こーる知りたくて
仰ぎ見る、空を隠した貴方の瞳
人型に陰った青草が平淡な面持ちで写っていた。
あ、
「わたし」は「わたし」と目が合わない。
腹の辺りに濃く雲の掛かった山は
千切れたみたいで
雨をかぶって
痛々しく見えた。
私は、ちいさい指で、言葉と戯れているだけだね
や、遊んでもらってるのかも
足りない。
星降りを写す
手だけが赤くなってゆく。
焼けて照らされる井戸
体の端が痺れを燻って、弱虫な火傷の様に痛む。
触れた壁まで、余った肌に波立つ襞の様に小刻みに揺れ始める。
つっかえ棒で言う、壁と棒の先とがぎゅうぎゅうに密着し、互いに抉りながら反撥し合って初めて保たれる感じに似ている。
補うと言ってもきっと違わない。
腕の先にある掌とか体の底を隈どる臀部とか足の爪の裏とか、が、ひとの端っこ、あなたのとなり、頭を置いてゆく。
痛みを掴まれて繋がる隙間。
次第に焦げゆく煙で記憶が歩かない、誰の裾を埋めよう
これから続くのは
冬に迷う季節しかなくて
何層にも重なる山の真ん中に埋もれた元の根が
又来るし足を放すし
どうしようと関係無しに
だから誰かが火を宛がう。
最近私だめだ、と毎日思っている事に先刻気づいた。
そんなこと前からわかってた。
よわいよ
ごめんなさい。
ガムテープの張った空
足が先に立って
降る一輪を追い駆けた
隣では笑えなくて
ブランコを探してふるえる
溶ける雪もないこの地に
西から黄砂が布を促す
決断も二人組を繋ぐ
軽い方へおいで
もっと長く、永く
離れてる
裂く風が違う
胸が痛いからさわらないで
だれがみても
だいじょうぶな雲の側面
風に
踏まれた後の
代わり番こにぶら下がる茎
落ちてしまえれば良かった
そう呟く私を追って
先に立つ足の跡
お風呂と気球
なんで帰っちゃうんだろうなぁ
鹿児島がだんだん憂鬱な場所になってきた、かも、
そんな事思いながらごとりと頭が重くってそのままふぃー下へ、下へ湯船にもぐったら少し気分が良くなった。そんな過程を切り取っただけの気持ち。
耳の痛む君はもしかしたら気球かもしれない。
わたしの、というか、あなた、の五年後には、どんな川がこぼれるのかな。
あの雲から空が覗いたり靴からはみ出た土の色が滲んだり倒れた椅子がかたんと言ったり、傘はどうなるの。私はそこにいられるだろうか。
五年の前は両手を広げても首を傾げていた15才。もっともっと周りの名前が無いくくくくるくる目が輪っか。変わったとは言えない弱さががたがたいう。ここは、ここは。
バランスを崩してついた手が痛い。青くなった少しだけ。きりきり巻いてる長い影が見える。明日の時計が見当たらない。
背中合わせじゃ靴紐結べない。
どこかが無いのに距離は離れていくし、正直に言うともうきっと見えない。段差が重なる階段の反対側に響く、同じ言葉。
すれ違うのに私たちは後ろばかり振り返って、どうして下を見なかったのかな。
風景も私だけれど下を向くと生身の私があって、そこからあなたの音が聞こえる。そして電柱にぶつかってしまう。
なにかをみた?ことばを結べた?
続きがこぼれ落ちた水のように肌をつたうから、離れたらわからなくなるよ。
動きはしないのに満たされた熱で、君は上へ。
どれかの成長、とか変化とか、うまく自分の指に変えられない。
どんな言葉にいるのかなぁなんて思いを馳せながら、湿ったタンポポを見つけてつつくんだ。
それはこーるだったりする。





