私の感覚を信じない秒針の滑り
ドリエルが不快な痺れとなってゆっくりと、心臓を起点に体の端へ溶けていくのを、一息ごとに感じる。
今なら感じずにいられるのに。床が滑らかになった。
胸のあたりが鈍く疼いて、指先にもう一層の水っぽい膜がかかり、少しだけ息がしずらい。身体の底がいくつも、いくつも石を抱いて、身体の底が、愛を捻った。みんながわたしをのぞく。
テレビの中できらきらと笑って歌うアイドルを見て、涙が出てくる。なんて可愛いんだろう。
私は今きっと元気じゃない。痺れた腕に力を込めて、ぐっと寝返りを打ち右目だけで泣いた。
重くなった心臓が、ゆっくりと下っていく。
零れようとする涙に封をするように、瞼を下ろし、ベッドの上で足音を立てる。スムースに、運ばれてゆく。
このままの形で、身体に埋まった点がみっつ、ベッドに沈みつつある。頭が心臓が腹が、今が終わればとしのぐ事だけを言い聞かせて、バランスをとりに行く私は、どこかで指をさされるのがこわい。意味が無いと。意味など無かったと。
誰とも、何とも。
両手の端がずれる。
私は、平気だよ。
信じるのと笑いかけるのを、同じだと考えていた。
感じてはいけない。
無数の席に座った学生達が、何を言っているのか感じてはいけない。
私が放した言葉を、感じてはいけない。
怖い。ほどけて、忘れてしまうんだ・・・。
するすると雨粒が流れ落ちる気がして、上体を起こしゆっくりと身体を捻って、カーテンに触れた。
指先のざらつきを確かめる。
雨音で目を覚ますなんて、夜明けの中でも特に最悪だ。
どこに、行った。
いつまでも、自分をゆるせない。




